教習項目17【高速道路での運転】
第2段階
1 通行できない車
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1 高速道路の定義
高速道路とは、高速自動車国道と自動車専用道路をいう。
2 通行できない車
① ミニカー、小型二輪車(総排気量125㏄以下の普通自動二輪車)、原動機付自転車は、高速自動車国道も自動車専用道路も通行できない。
② 農耕用作業車のように構造上時速50km以上の速度の出ない自動車、他の車をけん引しているため時速50km以上の速度で走ることができない自動車は、高速自動車国道を通行できない。
2 速度と車間距離
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1 最高速度または最低速度の遵守
② 標識や標示で最高速度や最低速度が指定されていない高速自動車国道の本線車道では、下表の最高速度を超えたり、最低速度に達しない速度で運転してはいけない。
自動車の種類 | 最高速度 | 最低速度 |
・大型乗用自動車 ・中型乗用自動車 ・中型貨物自動車 (車両総重量8,000kg未満、最大積載量5,000kg未満) ・準中型自動車 ・普通乗用自動車 ・普通貨物自動車 ・大型自動二輪車 ・普通自動二輪車 (総排気量125㏄を超えるもの) |
100km/h | 50km/h |
上記以外の自動車 ・大型貨物自動車 ・特定中型貨物自動車 (車両総重量8,000kg以上、最大積載量5,000kg以上の中型貨物自動車) ・大型特殊自動車 ・けん引自動車(トレーラー) ・三輪の自働車 |
80km/h |
※本線車道が構造上通行方向別に分離されていない区間では、この表の適用はなく、一般道路と同じである。
[Reference 参考]「本線車道」とは
本線車道とは、高速道路で通常高速走行する部分(走行車線と追い越し車線)をいう。
加速車線、減速車線、登坂車線、路側帯、路肩は含まれない。
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3 安全な車間距離の保持
高速道路では、安全な車間距離をとっていなかったことによる追突事故は決して少なくない。
安全な車間距離をとる目安として、路面が乾燥してタイヤが新しい場合は、走行速度の数字をメートルに読み替えた距離以上が必要である。
(時速80kmでの走行では80m、時速100kmでの走行では100m)
また、路面が濡れていたりタイヤがすり減っている場合は、この約2倍程度の車間距離が必要である。
3 通行区分など
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1 通行区分
本線車道での通行区分は原則として車両通行帯のある一般道路の場合と同じです。
走行中は、左側の白い線を目安にして車両通行帯のやや左寄りを通行する。
2 けん引自動車(トレーラー)などの通行区分
車の総重量が750kgを超える車をけん引しているけん引自動車は、つぎの車両通行帯を通行しなければならない。
① 車両通行帯が設けられている自動車専用道路(標識や標示で指定された区間に限る。)では、本線車道の最も左側の車両通行帯。
② 高速自動車国道の本線車道では、その最も左側の車両通行帯(標識や標示によって通行区分が指定されているときは、それに従う)。
③ 標識や標示により特定車両の通行区分が指定されている区間では、その通行区分に従って通行しなければならない。
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3 路側帯および路肩の通行禁止
高速道路の路側帯や路肩は、故障などでやむを得ず駐停車するため必要な限度において通行する場合のほかは、通行してはならない。
4 登坂車線の利用
[Attention 注意]登坂車線の通行
登坂車線は本線車道ではない。
4 禁止事項
1 二輪車の二人乗り禁止
高速道路では、次の場合は二人乗りをしてはならない(側車付のものを除く)。
① 20歳未の人。
② 大型二輪免許を受けていた期間が3年未満の人。
(普通二輪免許を受けて3年を経過している場合を除く。)
③ 普通二輪免許を受けていた期間が3年未満の人。
④ 標識により二人乗り通行を禁止する規制がされている区間。
2 転回、後退または横断の禁止
本線車道では、転回したり、後退したり、中央分離帯を横切ったりしてはならない。
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3 緊急自動車の通行妨害の禁止
緊急自動車が本線車道へ入ろうとしているときや本線車道から出ようとしているときは、その通行を妨げてはならない。
4 駐車・停車の禁止
高速道路では、次の場合のほかは、駐車や停車をしてはならない。
① 危険防止などのため一時停止するとき。
② 故障などのため、十分な幅のある路肩や路側帯にやむを得ず駐停車するとき。
③ サービスエリア、パーキングエリアで駐停車するとき。
④ 料金の支払いのため停車するとき。
5 故障時などの措置
1 路側帯又は路肩の利用
故障や燃料切れ、交通事故などの理由によりやむを得ず駐停車するときは、十分な幅のある路側帯や路肩に入って駐停車しなければならない。
路側帯や路肩の幅が十分でないときは、非常駐車帯など幅の十分ある場所まで移動する。
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2 故障車の表示
高速道路で交通事故などの理由により運転することができなくなったときは、事故防止のため、後続車の運転者に停止していることが分かるように、次のような表示をしなければならない。
① 昼間は、自動車の後方の路上に停止表示器材を置かなければならない。
② 夜間(昼間でも視界が200m以下の場合も同じ)は、停止表示器材とあわせて非常点滅表示灯か駐車灯又は尾灯をつけなければならない。
3 表示するときの注意
停止表示器材を置くときには、発炎筒を使って合図をするなど、後続車に十分注意する。
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5 避難
高速道路において、運転できなくなった車にとどまることは大変危険であるため、必要な危険防止措置をとった後は、車に残らずガードレールの外側などの安全な場所に避難する。
6 高速道路利用上の心得
1 車の点検
高速道路を走行する場合は、特に次の点検をしなければならない。
① 燃料の量が十分か
② 冷却水の量が規定の範囲内か
③ ラジエータキャップが確実に閉まっているか
④ エンジンオイルの量が適当か
⑤ ファンベルトの張り具合が適当か、損傷がないか
⑥ タイヤの空気圧が適当か
(高速走行するときは空気圧をやや高めにする)
⑦ タイヤの溝の深さが十分あるか、損傷がないか
[Reference 参考]スタンディングウェーブ現象
タイヤの空気圧が低い状態で高速走行を続けると、タイヤが高温となり、タイヤの表面がはがれてバースト(破裂)する危険がある。
タイヤの空気圧が低いほど起こりやすいので、空気圧を高め(20%位)にすることで、ある程度防止することができる。
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2 積荷の点検
高速で走行すると、荷物が転落、飛散しやすくなるので、高速道路を通行するときは、前もって荷物を点検し、不安定なときはロープを締め直したり、積み直すなど、必要な措置をとらなければならない。
3 停止表示器材の用意
高速道路上で故障などによって停止したときは、停止していることを表示する停止表示器材を置かなければならない。
7 走行計画の立て方
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1 無理のない運転計画
長時間連続して高速運転することは危険なため、2時間に1回は十分な休憩をおり込んだ、ゆとりのある運転計画を立てる。